Utagawa Kuniyoshi
広重の落ち着いた風景や国貞の美人画のみならず、ファン・ゴッホは国芳の緊張感漲る版画にも魅了された。「武者絵は国芳に限れり」とまで言われた浮世絵師である。英雄的物語のこの版画の中で、国芳は思うがままに想像力と創意を発揮している。
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エキサイティングな三枚続(三枚組)
画面いっぱいにすべてが波打ち、渦巻く。国芳は三枚続きの図案を得意とした。三枚続きのフォーマットの端から端まで存分にスペースが用いられ、悲劇的な場面が表現されている。左の画面には、嵐をおさめ船を守るために輿次兵衛が勇敢にも自らをいけにえとして海の神に身を捧げる姿が見られる。
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英雄としての美人画
国芳は、魅惑的な花魁という伝統的な美人画の典型を異なる理想的女性像によって打ち破った。彼は歴史や神話上の英雄的ヒロインを版画にしたのである。寒い冬に自らの着物の中に子供たちを隠し敵陣から逃れた常盤御前もその一例である。